医師と患者の関係の良否 4
少年はこころがすっかりねじけてしまい、治癒力が発動できない状態になっていました。
・・・しかし、わたしはひたすら治療に専念し、母親の金切り声には一切耳を貸さなかったのです。
へたに応答したら問題をこじらせるだけです。
わたしがひとことも発しなかったので、母親は拍子ぬけしておとなしくなり、治療はうまくいきました。
やむをえず治療の途中で帰ってもらったケースもあります。
子どもの治療をはじめると、つき添ってきた母親が
「うちの子になんてことをするの!とんでもないやりかたをするわね!」
・・・と大声でがなりたてはじめました。
そのわめき声はクリニック全体にひびきわたり、待合室の患者にも聞こえたはずでした。
さすがのわたしもこれには閉口しました。
「悪いが、奥さん」とわたしはいいました。
「これじゃ、お子さんは診られないな。ほかの医者に行ってもらおう」
・・・そして、治療室から退散しました。
ほかの患者のことを考えれば、選択はそれしかなかったのです。